ブレイブストーリー

夏の話題作のひとつをようやく鑑賞。原作は未読。
主人公のワタルが突然降りかかった不幸な運命を受け入れ、他人に対して思いやりを持つようになるという、少年の成長モノとしては、やりたいことが明確で分かりやすかったですよ。だけど、上映時間の制約のせいか、主人公と登場人物たちとの関わりがどうにも浅くて(一応、捕らえられた仲間を助けるとか最低限のイベントはこなしていましたが)、主人公が願いをかなえる場面も、話の流れからいって、ああいう選択になるのは必然なんだろうけれど、イマイチ主人公の気持ちと同調できなくて盛り上がれず。
影の主人公とも言うべきもう一人の少年、ミツルについても、彼の主人公に対する相反する感情の描き方が弱くて、キャラクターとしてイマイチ弱い感じ。魔導士として絶大な力を持つ彼を、ただの剣をもった少年でしかない主人公が救おうとするのも無理があって、気持ちも大事だけどそれなりの力がないと意味ないんじゃないかなぁと思ってしまいました。運命を受け入れるという現実的な結末に持っていくだけに、そこら辺もキチンと見せて欲しかったなと。
千羽由利子によるキャラクターデザインは可愛らしく、作画的にも劇場公開作品と思わせる出来栄えで、終盤の魔物を一掃する場面はなかなかのカタルシス。それだけにTVシリーズあたりで、時間をかけてじっくりと登場人物たちの関係を掘り下げてくれれば、もっといい作品になったように思えて映画の急ぎ足で余裕のない展開が残念に感じられました。