ハチミツとクローバー2 chapter.7

森田兄弟の過去編。
父親のパートナーだった根岸が暗黒面に落ちる過程や森田兄が復讐に囚われる心理を、モノローグで淡々と見せる構成。野球や模型の飛行機といったエピソードや、分かれ道や追いかけて来る店員が不定形な何かに変化してまとわりつく、といった心象風景の使い方が上手くて、身につまされるような気持ちになりましたよ。
恨むのは俺の役目と言いながら、根岸を恨んでいるようには見えない森田父がまぶしく、心の強い人だと思うんだけれど、その光の強さが、根岸を追い詰めたのかと思うとやるせないものが。
天才に対する凡人の思いというテーマは、映画の「アマデウス」を思い起こさせるわけですが、この作品では、友人や家族という近しい間柄にすることで、それをより深く掘り下げているように感じました。