シグルイ 特別版「駿府城御前試合」

今月からWOWOWで放送がはじまるアニメ版の先行放映。テクノライズ浜崎博嗣が監督するということで個人的にこの夏一番の期待作。
複数の映像を重ねるオープニングやコントラストの強い白飛び気味の画面、そして淡々とした運びながら静かな緊迫感のある展開と浜崎テイスト全開といった感じで、冒頭のインタビューで原作者が伝えていた「分かっている」という監督の言葉が納得の出来栄えとなっておりました。原作の特徴のひとつである直接的なグロ描写は控えめでしたが、冒頭の切腹で内臓をまさぐる描写はモノクロながら腹がムズムズしてくる気持ち悪さがあって、藤木と伊良子が対峙する場面で皮膚の下の筋肉を見せる原作を取り入れた描写も印象的。和楽器を使ったBGMが雰囲気を出していて、特に試合で伊良子が刀を抜く場面の緊張感には痺れましたよ。
話的には藤木と伊良子の御前試合対決からさかのぼって、二人の因縁を描いていくという原作どおりの構成。封建社会はマゾヒスト云々や牛股が笑いについての解説を省かれていたのが、ちょっと分かりにくいような気もしましたが、読者のペースで読める漫画と違って解説を入れると話の流れが中断されるからというアニメならではの判断なんでしょうか。
とりあえず、原作読者としてもテクノライズのファンとしても満足のできる仕上がりで、これなら金を払って見るのも惜しくはないと思えるものでしたよ。