シグルイ 第9話「虎子」

三重狂乱の挿話を、セリフの代わりに文章による説明を入れたり画面にフィルムっぽいノイズを入れたりと無声映画風に見せるのが面白い演出でしたが、原作では語られていた彼女が刀を持ち出した理由を明確にしなかったのが引っかかるところ。まあ興津が裏切る理由のひとつとなった三重の崩壊した精神は分かるし、錯乱した人間のやることなど理解できないと言えばそうなんですが。斬られそうになった三重を救うところは、藤木の彼女に対する気持ちが垣間見れるものだったけれど、結局彼女ではなく刀を受け止めるあたりに彼の中での優先順位が現れていて、あれでは三重がおかしくなるのも当然のような気も。
話の方は、ようやく伊良子に目星をつけて動き出す虎眼流の高弟たちといったところですが、時既に遅く興津の裏切りにより内側から崩され更に犠牲者を増やし追い込まれるといったところ。興津を斬る場面で回想される彼に文字を教わる藤木の姿が切ないものでした。宗像たちがあんまに対して怒りをあらわにする場面は、来るのが分かっていたのに思っていた以上にスゴイ音がつけられていてびっくり。前半の無声映画風の演出で、静けさを強調していたのが効果的でした。