狼と香辛料 第12話「狼と新たな旅立ち」

結局のところホロの力押しによる解決ということで、ここまで騙し騙されみたいな方向で来たんだから、最後はもう少し機転を利かせて欲しかったような気もするわけですが、まあ無事に解決してなにより。単純に復讐をするのではなく相手に莫大な借金を負わせるロレンスの選択は、事のはじまりである商売の仇を商売で取り返すといったところで、平和的かつ利益を優先する商人らしいたくましさみたいなのが感じられる事件の収め方となっていて、後味の良いものでしたよ。
自分とノーラ、どちらの名前を呼んだのかを問いただすあたりにホロの可愛らしさが出ていて、ロレンスとの関係の進展を期待させてくれる場面なんだけれども、彼のずれた答えや鐘の音ではぐらかすのがなんとももどかしいところ。服を脱いだホロに対してロレンスがかける言葉が尻尾への賞賛というあたりは、誰よりも彼女のことを理解しているようでもあるし、あれだけ恐れていた狼の姿をした彼女に乗ることが出来るようになっただけでも大きく進歩しているようではありますが。あと賢狼と牧羊犬が対峙する場面が、設定的からすると当然で文章だけなら問題もないんだろうけれども、絵で見せるアニメにすると迫力のないものとなっていたのが残念。
シリーズを通して、作画は目立っていいところもなければ悪いところもないといったところでしたが、価値の下がる銀貨で利益を上げる仕組みをはじめとして、説明的な場面で見せ方が単調だったのがもったいなく。商売に関するウンチクは、この作品の見せ場のひとつなのでもう少し見せる工夫が欲しかったですよ。
ホロの独特な口調や、その口調からつむぎだされるロレンスとの洒脱な会話は楽しめるものとなっていて、キャラクターが大変魅力的に描かれていた印象。この二人の旅をもっと見てみたいなぁ思わせるものとなっておりました。