初恋限定。 第12話「ハツコイリミテッド。」

いい最終回でしたよ。
旅に出た三人が自転車を漕ぎながら絶叫するあたりから、見ている方としても気持ちが盛り上がってきて、沈む太陽に向かって思いのたけをぶちまけるところで、なんだかいろいろとこみ上げてきてちょっと泣けてしまったり。
とりあえず旅に出てみたり夕日に向かって叫んだり砂浜で追いかけっこしたりと、使い古されたシチュエーションばかりなんだけれども、クライマックスに向けて盛り上げていく演出や、個別に動いていたストーリーラインを一気に収束させる構成がよく出来ておりました。
絶叫を女の子たちに聞かれて逃げ出すあたりは、やっぱり情けなくて、最後は追いかけてきた女の子たちに認めてもらって解決みたいな感じになっていたりもするけれど、一緒に前に進もうみたいに終わるのはやっぱりいいもんだなと。
あゆみが兄弟のどちらを選ぶのかという問題に対して、二人をより深く理解した上で彼女なりの答えを出すのが好印象。質問という形で登場人物たちの恋愛観を語らせるのは、この物語の総まとめといったところ。江ノ本と楠田の関係が、おおかたの望んだとおりにまとまることをはじめとして、他の人物たちの描写も余韻を残すものとなっていて良かったですよ。
冒頭の温泉サービスも含めて絵的にも最終回にふさわしい出来映え。特に三人が叫びながら山道を走る場面において、彼らの主観視点のからの映像を背景動画でグリグリと動かすのが印象的で、ストーリー的な盛り上がりに一役買っていたように思いました。

シリーズ全体としては、多くの人物が登場しエピソードごとに中心となる人物が変わるというオムニバス形式となっていたわけですが、最後はキッチリとまとめてくれたのが素晴らしく。多少のバラつきがあったものの、それぞれのエピソードもよく出来ていて、特に9話の千倉メインの回は出色の出来映えとなっておりました。
明確な主人公を置かない群像劇的な形式は、ジャンプのような少年誌ではあまりなくて、そこら辺が原作が長く続かなかった原因なのかなぁと思ったりもするわけですが、それでもアニメとしてこうして良いものを見せてくれたわけで、元を作った原作者やそれをアニメとして仕上げてくれたスタッフに感謝。