エル・カザド 第26話「輝く女」

ナディとエリスが再び旅をはじめる最終回。二人の面倒を見る老夫婦やナディに気がある保安官や生意気なその子供といった普通の人々に囲まれて過ごす穏やかな生活の可能性を示しながらも、それでも旅に出ることを選ぶのが、この作品らしい開かれた終わり方になっておりました。
老夫婦に引き止められ涙を流してナディが感激する場面で、あえて旅立つことを決断するエリスは、ナディが本当に望んでいることを理解しているということなんだと思いますが、その前のオカマと揉める場面で、倒れたナディに真っ先に駆け寄る保安官を見つめるエリスの意味深な視線を考えると、嫉妬や独占欲みたいな複雑なものも混ざっているような気も。ナディが凡庸な幸福に溺れることを望まないが故の言動にも受け取れたりして、彼女の純粋さから来るものなのかそれが魔女たるゆえんなのか分かりませんが、無邪気なエリスの隠された一面が垣間見れるようでした。確かにサブタイトルどおり、落ち着いた二人よりも旅を続ける二人の方が輝いているわけで、そこら辺がスタッフの描きたかったことなんだと思いますが。
ブルーアイズやリカルドとリリオといった脇の人物たちが顔を出すのが楽しく、オカマの人たちの意外な姿での再登場も面白かったんですが、そっくりさんという形でローゼンバーグも登場するのに、あれだけ話を盛り上げてくれたL・Aについてフォローがないのがちょっと残念。作画の方はキャラデザ本人が作監を務めただけあって、キャラの顔の安定感や表情付けが素晴らしいものでした。
・まとめ
ノワール」「MADLAX」に続く作品としてはじまったのに、ガンアクションを見せる場面があまりなくて、謎解きやクライマックスの盛り上がりもえらく地味なものとなっていましたが、その代わりというかむしろそちらが主眼というか、いろいろとズレているエリスとそれを見守るお姉さんといった感じのナディとの会話を通して、お互いに感化されていく二人の関係の発展がよく描けていたように思いました。タコスの歌へのこだわりをはじめとして作品全体に漂う妙にユルい雰囲気もいい感じで、本筋の(ように思えた)話は全く進まないのに毎回楽しむことが出来ましたよ。