おおきく振りかぶって 第25話「ひとつ勝って」

大会の途中で最終回を迎えたりして、どうなることやらと思っていたんだけれど、勝利を得た三橋のちょっとした変化と彼を取り巻く野球部の主要メンバーとの関係を見せるということで、一応まとまっていましたよ。
オドオドして周囲の顔色ばかりうかがっている三橋には毎度のことながらイライラさせられて、花井の中学時代だったらいじめる側に回っていたかも発言にも思わず同意したくなるわけですが、だからこそ、個性や考え方の違う彼らが野球を通して一緒にがんばっているというのが感動的。最後に周囲が自分を認めていることにようやく気付いた三橋が、中学時代の加納の言葉の意味を理解して彼にメールを送るのがいい場面でしたよ。
田島が西浦を選んだ理由には脱力。三橋のことを心配しながらも、それを怒ることでしか表現できない阿部の不器用さも微笑ましかったです。
・まとめ
気弱で押しの弱い投手と言うのが斬新。一般的に主人公が消極的は作品は成功しないらしいんだけれども、この作品の場合は三橋の投げることに対する貪欲さと、少しずつそれを理解していく周囲の人々という形で話が動いていた印象。阿部の配球をはじめとする試合中の心理描写が緻密で、そこから対戦するチーム同士の裏の読み合いみたいな面白さが生まれていたように思いましたよ。原作が漫画賞を受賞した際の、野球漫画の新しい表現云々という評価も納得。作画はシリーズを通して安定していて、派手さはないんだけれども作風に見合った丁寧な動きがつけられておりました。