瀬戸の花嫁 第26話「きみの帰る場所」

囚われた燦を救う永澄の侠っぷりを見せつける見事なまでの最終回。
永澄を先に進めるためにルナに明乃に三河、そして瀬戸内組の面々がヨシウオの手下を食い止めるという、過去に何度となく使われてきたお約束どおりの展開なんだけれども、それでもこみ上げてくるものがあって、ここに至るまでに描かれてきたそれぞれのキャラクターや永澄との関係があればこそ生きてくるお約束といったところ。役目に縛られていた明乃が助太刀に回るところや、啖呵を切った永澄が豪三郎に認められて彼のはっぴを受け取るあたりには痺れるものがありました。永澄食べていいのは自分だけと言いつつ逃げる彼の姿を携帯の待ち受けにしている藤代やセーラー服で乱入してビームを乱射するルナ父は微妙に間違っている気がするわけですが、そういうギャグっぽい部分さえも話に勢いを与えていましたよ。
燦を前に永澄とヨシウオが対決する場面も秀逸。一方的にやられる永澄の手から二話で彼が贈った指輪が落ちることで燦が正気に戻り、永澄が逆転するという流れが二人の絆の強さを感じさせるものとなっていて、ヨシウオに撃たれて万事休すかと思われたところで、自力でパワーアップというサプライズも見事に決まっておりました。
喋りを聴いてるだけで不愉快になってくるヨシウオはまさに名悪役といった感じで、最後の2話に話をまとめるために登場させられたとは思えないほどキャラが立ちまくり。真剣さを馬鹿にする世の中をナメきった彼がいればこそ、その対極にいる永澄が引き立つわけで、その役割を十二分に果たしていましたよ。日常に帰った永澄が、劇画調のマッチョの状態で固定されたりして、最後までギャグを忘れないのが好印象。
永澄が燦に告白することで半年に渡る二人の物語も決着。女のために命をかける永澄がかっこよかったですよ。
・まとめ
やたらと多いセリフ量やそれを詰め込むための早いセリフ回しから来る高いテンションが、岸誠二監督らしい作りになっていたわけなんだけれども、一話で豪三郎が延々とがなり立てていたのを見たときには、正直疲れるというか、テンション維持できなくなって早い時期に失速しそうとか思っていたり。実際にはそこからテンションが上がり続けて、中盤のルナとの結婚式で中盤の山場を築いて最後の燦を救出に向かう話まで突き抜けてくれて、いい方向に予想を裏切ってくれました。ギャグのキレも鋭く、特にルナ父が初登場する回や終盤の豪三郎たちがコスプレをする回以降の出来は破壊的で大いに笑わせてもらいましたよ。パロディが露骨過ぎてクレームがついてAT-Xで放送できなくなった回もあったりして、いろいろ無茶をやっていたんだけれども、最後には燦と永澄がお互いに成長するラブストーリーとして、シリーズをキッチリと締めたのには感心。半年間見続けて素直に楽しかったと思えるシリーズでした。
確か監督も結婚したばかりのはずだけど、こっ恥ずかしくも祝福してあげたくなる燦と永澄の爽やかさは、そこら辺が関係していたりするんでしょうか。