BACCANO! 第13話「不死者もそうでない者もひとしなみに人生を謳歌する」

これまでの物語をまとめつつも、そこからの広がりも感じさせるよくできた最終回でしたよ。
素手火炎放射器に立ち向かい、そこで語られる泣き虫な理由と、ジャグジーにはじめの方の話でレイルトレーサー対してビビりまくっていたころとはまるで別人のようなかっこよさがあって、チェスを必死に助けようとするアイザックとミリア、そして彼らの裏表のない善意によって荒んでいたチェスの心が救われるのはいい話。あの状況でクレアがシャーネに対してプロポーズをするのは、さすがに読めない行動でしたが、女を守ったラッドに対する賞賛やジャグジーを見逃したことと合わせて考えると、彼なりに整合性のある行動となっていたように思いました。
不死の酒を巡る騒動については、フィーロがセラードを食うことで一件落着。エニスとマイザーが絶体絶命という場面から、復活したマフィアたちが現れて状況を一気にひっくり返すのが楽しく、不死の苦しみを語るマイザーとは裏腹に、それを喜ぶマフィアたち、そして結ばれるフィーロとエニスと、まさに大団円といったところ。明らかになったダラスの行方は、聞いただけで息が詰まりそうなものでしたが、そこから救われて妹とも再会するということで一応の決着。不死の酒を与えた悪魔の存在や、クレアとシャーネ、そして父親との関係については、未解決となっていましたが、ここら辺はDVDの追加エピソードで語られることになるんでしょうか。
オチのアイザックのボケが強烈過ぎて、一体何十年気づかないんだよとかツッコミつつも、不死者となっても全く変わらない二人に安心。アフロとチューリップハットという30年くらいズレた服装や、人工衛星から見下ろす地球というラストカットがいい味を出しておりました。
・まとめ
はじめの何話かは、時間と場所が飛びまくる捻った構成のせいで話がよく見えず、登場人物の多さに混乱したりもしましたが、その人物たちがそれぞれに強烈な個性を持っていることで話を引っ張り、徐々に話の繋がりが見えてくるのが面白かったですよ。特にアイザックとミリアのコンビの能天気さが楽しく、不死を巡る陰鬱さや残虐な場面の多い血なまぐさい物語を中和する存在となっておりました。ラッドを演じる藤原啓治の迫真の演技も印象的。動く列車の上から腕を線路に押し付けるみたいな残虐な場面は、何もそこまでやらなくてもと思えることもありましたが、物語の中心となる不死性を強調するためには、まあ必要だったような気も。
パズルを埋めていくように物語が描き、最後にひとつの絵として物語を完成させるのが、計算されたいい仕事となっていて、作画も全編を通して丁寧な仕上がり。アイザックとミリアにつけられた細かい動きや、アクションシーンでのキレのある動きがすばらしく見ごたえのあるものとなっておりました。