電脳コイル 第26話 「ヤサコとイサコ」

事件のあらましが明らかとなり、二人の友情と心の成長を描いて物語を閉じる最終回。
大詰めになって出てきた4423がイサコにつけられた番号であることから、ヤサコのお爺がイサコに施した治療へと話が広がり、断片的に描かれてきたヤサコの幼少の頃の記憶やデンスケの存在へと繋がっていくのが上手くまとまっていましたよ。「痛みを感じる方に進め」というイサコへの呼びかけが印象深く、エピローグで二人が別々の道を歩むことが描かれるのは、それぞれの成長の証であるわけですが、離れていても心は通じていることを感じさせる電話での会話は心に沁みるものがありました。
これまでほとんど背景と同じ扱いだったヤサコの父親の活躍とその正体は最後に用意されたサプライズ。ヤサコとハラケンの図書館の前での会話のこっぱずかしさに悶絶。デンスケの幻で締めるラストシーンは、事件を経てのヤサコが成長したことを象徴すると同時に、それが彼女にとっていつまでも大切な記憶として残り続けることを予感させるものとなっていて余韻を残す終わり方となっておりました。

・まとめ
終盤における設定面での詰め込み具合には、ペース配分が上手くいかなかったのかなぁと不安になったりもしましたが、終わってみれば物語の大筋については決着がつき、また少女の成長物語としても、上手くまとまっていた印象。猫目の復讐とその原因となったメガマス社の暗部については、不完全燃焼の感もありますが、弟が猫目を探しに行くということでいい方向に進むことを予感させているんじゃないのかなと。最後にダイチとフミエの活躍が見られなかったのはちょっと残念。
シリーズを通してよく動く作画となっていて、特に初期の話で子供たちが走り回る躍動感が素晴らしく。メガネを通すことで、平凡な街並みが全く違ったものになるという子供が路地裏を探検するような感覚から、現実と虚構を巡る問題へとテーマを広げて成長物語に発展させるのが見事でした。