墓場鬼太郎 第1話「鬼太郎誕生」

ゲゲゲの鬼太郎のプロトタイプともいえる作品のアニメ化。ちょっとヒネたところもあるけれど基本的には人間の味方であるゲゲゲに比べて、主人公の鬼太郎が、人間に興味を持てないと言ってみたり育ての親に対してすら心を開こうとしなかったりと、完全な異物として描かれているのが印象的でした。異物の立場から人間という存在をアイロニカルに描くみたいなこの作品から、何がどうなったら妖怪退治モノになるのかというのも気になるところですが、独特な雰囲気があってこれはこれで面白かったですよ。
原作のタッチに近い描線や薄暗い画面のところどころでに入る毒々しい色使いが効果的。人物の衣服に加えられた処理は、モノノ怪で使われていたものの応用なんだろうけれど、蠢くような質感がなんともいえない不安感を煽るものとなっておりました。ノイタミナ枠の東映は、安定した作りの子供向けとは全く異なる実験的な映像を見せてくれたりして、歴史のある製作会社ならではの懐の深さを感じさせてくれます。