RD 潜脳調査室 第13話「もうひとつの海」

ミナモとのデートと並行してハルの過去が回想される話。
彼の生まれ故郷である下町の姿や唐津での少年時代が、郷愁を誘う音楽を伴って描かれ、しんみりとしてしまいましたよ。特に「時間よ止まれ」のハマり具合は秀逸。バブル期の地上げによって失われていく下町の何気ない風景や明るい陽射しを感じさせる海辺の町といった背景も素晴らしく、喪失感をかきたてるものとなっていましたよ。故郷や海を失った彼が電脳の海に再び居場所を求めるということで、ハルという人物に共感を抱かせるエピソードとして出色の出来栄えとなっておりました。
唐津に連れて行って欲しいとねだるミナモに対して、残された時間からそれが難しいことを悟っていることをうかがわせるハルの表情や、泳げるようになれるかもと未来への願望を無邪気に語るミナモと、それぞれの年齢からくる時間の感覚の違いを対比させるのも印象的でした。
ミナモが冒頭の寝言で太っちゃうと言ってみたり、イルカのアクセサリーに似てると言われて丸くないとむくれてみたりと、キャラクターデザインに対する視聴者の反応を取り入れた小ネタが面白く。ハルからまたデートしてくれと言われて頬を染める様子が可愛らしかったです。