ダークナイト

各方面で評判がいいようなので、久しぶりに実写の映画を見てきましたよ。
正義を行うことが、悪を先鋭化させ更なる混沌を招くという矛盾に対して真正面から取り組んだ力作となっていて、バットマンとジョーカーといったそれぞれの立場を代表する人物の対決を通して、掘り下げられていくテーマは見応えのあるもので、それと同時にハリウッド作品らしいド派手なアクションを繰り広げてエンタテインメント作品としても成立させているのには感心させられました。
人間の善意や理性をあざ笑うかのような犯罪を繰り返すジョーカーに対して、同じように非合法でありながらも理性を持って立ち向かうバットマンの姿には熱いものがありましたが、一方で作中でのセリフにあるように彼がジョーカーのような存在を生み出してもいるのも事実。またバットマンと同じ理想を抱き高潔な意志を持ったデントが、ジョーカーの罠によって悲惨な最後を迎えるのは、バットマンも同じ人間である以上、彼のようにならない保証はないという危うさを感じさせるもので物語に苦い結末をもたらしておりました。
リアルの世界で国家としてバットマンと同じような振る舞いをしているアメリカでは記録を塗り替えるほどの大ヒットになっているのも納得の出来映え。日本では興行的にふるわない*1ようですが、その理由としては、わざわざ争いを起こすようなことを好まないお国柄に加えて、この作品のような矛盾を突きつける作品が漫画やアニメで数多く作られていて、すでに多くの人が触れているせいもあるのかなぁと思いました。

*1:自分が見たときも、平日の16時くらいの回で埋まった席がせいぜい1、2割といったところ