魍魎の匣 第3話「羽化登仙の事」

事件後の頼子の事情と内面の描写に加えて、木場刑事が事件に深入りする理由が語られる話。
頼子が、母親に対して死ねばいいと言ってみたり、祈祷師の言うことを信じる母親を侮蔑し周りの人間がすべて愚かだと思い込んだりする一方で、自分では来世がどうのこうのと言っているあたりは、いわゆる中二病といったところ。自分の来世だから死んだら困るという発想も危ない感じで、今回の終わり際の加菜子が姿を消す場面での、天に昇ったという解釈もキているわけですが、複数の人物が現場にいる中で姿を消すという状況が、その解釈を肯定しているようにも思えてしまうのが不気味な後味を残すものでしたよ。
真面目に捜査しているように見える木場も、守るものと敵を脳内で勝手に設定して勝手に捜査に加わっていたりして、こちらも中身の方はけっこう危うい人物である模様。
戦後間もない時代の街並みを描く背景は、自分で実際に見たことがあるわけじゃないけれども、当時の写真や映画から想像されるような、埃っぽくてゴミゴミした様子が感じ取れてよい仕事でした。