魍魎の匣 第6話「筥の事」」

京極堂の超能力じみた発言の種が明されつつ、作品のタイトルである魍魎とハコの繋がりがはじめて示される話。
前回の発言の件は、説明されてみれば確かに不思議がないわけですが、その超能力の類かと思わせる彼の能力から、限られた情報を元にそれらを引き出す洞察と、それを迷うことなく伝える自らの推理に対する自信が伺えるものとなっておりました。偶然が重なったりして、かなり彼に贔屓した展開だけれども、京極堂という人物が謎とき役として申し分のない人物であることを印象づけていましたよ。
続く占い師や霊能力者についての定義で目的の方が重要とするあたり、超常現象の存在について否定的な立場ではあるものの、それを利用することについては柔軟な姿勢の持ち主のというか、そういう物にすがる人間の心理についてもよく分かっている様子。
普通の職人がハコを崇める宗教家になるまでの、生真面目な人間が向こうの世界に行ってしまうみたいな話も面白いところ。たしか頼子の母親がこれにハマっている描写もあったはずなので、そこら辺がどのように繋がって来るのか気になりますよ。
男三人が部屋に籠もって会話をするだけどいう絵的に動きのない話ながら、たとえに楊枝やようかんを使い、それらを異様な長回しで見せるのが面白く。カメラワークもなかなかに凝った作りになっていて、鳥口に続いて関口が、京極堂の話の要旨を理解する場面で、それまで関口の側から見ていたカメラがイマジナリーラインを飛び越えて反対側から彼を写すところは、話の転換点として地味にインパクトがある演出でした。