WHITE ALBUM 第1話「そう、あの時はもう、スイッチが入ってたんじゃないかなあ」

駆け出しのアイドルと恋人関係にある大学生が主人公。現彼女の他にも女性キャラが何人か出てくるわけですが、彼に気がありそうな先輩と自転車の娘はもちろんのこと、優柔不断そうな主人公とそれを取り巻く女の子たちという設定だけで、とりあえず名前がついてる女の子は全て、主人公を中心とする修羅場を形成しそうな予感がして、どうやら原作のゲームからしてそういう内容のらしく。流される主人公にイライラさせられることになるんだと思いますが、まあやるなら徹底的にドロドロした展開にして欲しいところ。
作中の時代が1986年と明示されているのが印象的で、わざわざ20年以上前に設定した理由としては終盤の公衆電話による会話に見られるように、作劇上の都合で携帯電話が普及していない時期にする必要があったのかなと。あとはアイドルという存在に神秘性が備わっていたの方が、主人公とのすれ違いが描きやすいというのもありそう。
時代的には一世代昔だけれども、演出的にはいろいろと試みられていた模様。登場人物の心情を文字で画面に乗せるのは、すでに目新しいものではありませんが、電話での会話に心の声を重ねて見せるあたりは効果的でしたよ。また二人の人物が会話をする場面で、カットを切り替えるのではなく、わざわざカメラを左右に振るあたりもあまり見なくて、何か意図があるんだと思いますが単にもっさりしているだけのような。ヒロインが汚された衣装を改造する場面が、終盤の二人の会話にオーバーラップするあたりは、大変な思いをしたことが電話をするキッカケになってるということなのかもしれないけれども、こうやって感想を文章で書く段になってやっと気づいたくらいで、ちょっと分かりにくいような気もしました。色彩やらキャラの芝居の付け方やらでリアル指向といえばそうなんだろうけれど、そのせいか雰囲気が全体的に湿っぽいのも、ちょっとキビしいところ。
作る側の力の入れ具合は伝わってくるものの、それが見る側が物語に興味を持つ方向へと生かされていないようなところもあるけれども、それが作品の方向性と上手くハマることに期待して様子を見たいと思います。