CLANNAD AFTER STORY 総集編「緑の樹の下で」

話数調整のための総集編。一つの物語というよりは、朋也と渚の話を中心に、サブストーリーが展開されるこの作品を、どうやって一話にまとめるんだろうかという点に興味があったわけですが、主人公が娘に聞かせるという形で、メインの話を抜き出して無難にまとめていた印象。
渚と汐が生きている世界における朋也の回想となっているわけだけれども、妻と娘が死ぬルートについては、不思議な記憶として扱われつつも、確かにあったことだという確信が語られたりして扱いに苦慮しているなぁと。不幸が待っているとしても渚と出会うことを選ぶという朋也の行動が、作品の核心となっているわけで、二人の死をなかった事にもできないし、かといってそれを含めてやり直されたことを作中の人物である朋也が知っているのもおかしいしで。
とりあえず、おおざっぱなあらすじと登場人物の紹介としては上手くまとまっているように思いました。
 
・全体のまとめ
終盤における高校を卒業してからの就職と結婚、そして娘が誕生するあたりは出色の出来映え。等身大の人物による普通の生活が描かれている訳ですが、こういった出来事を見せてくれるアニメというのは、あまり見たことがなかったので新鮮でしたよ。情景や人物の仕草を自然に描く演出や作画も大変素晴らしかったです。
それだけに、妻と娘を失った主人公が普通の人間としてどう生きていくのかという方向の話も見たかったところではありますが、最後に強引ともいえるやり方でハッピーエンドを迎えるのは、エンタテインメント作品である以上仕方のないことなのかなと。
サブストーリーの出来映えは玉石混合といったところで、それぞれの話で中心となるキャラクターに対して、特に思い入れのない自分としては特に必要性が感じられず。原作のゲームでは、復活の鍵となる光の玉を集めるためにそれらを進める必要があるようですが、アニメではそこら辺がよく分からなくて、これだったら朋也と渚の話を中心に、キッチリと構成して欲しかったなぁと思いました。まあキャラクターで売るという面がある以上、そう簡単に切り捨てるわけにも行かないんだろうけれども。