続 夏目友人帳 第13話「人と妖」

最終回。夏目に対して示されていた人間と妖怪どちらを取るのかという問いに対しては、属する世界ではなく個人として接するということでとりあえずは一段落。これまでの話で、人間と妖怪のそれぞれの力になってきた夏目ならではの選択となっていたわけですが、あくまで個人の力で解決出来る範囲だからこそ可能な選択のようにも思えるところ。
たとえば今回の件にしても、封印を解かれた鬼がカイを喰らおうとしたことと、カイの力が強く、鬼を簡単に退治することが出来たことで大きな問題にならなかったけれども、これでカイと鬼が人間に害をなすような展開になっていたら、夏目はどうするべきなんだろうかと考えると複雑なものがあるわけで。
作中でも、夏目を見守りつつも自身は妖怪を退治することを厭わない名取や、妖怪を敵視する呪術師の存在によって、夏目の選択によって解決出来るほど、人間と妖怪の関係が単純ではないことが示されているわけですが。
とりあえずは人間と妖怪という住む世界が違えども、孤独を抱える者同士の優しい心の交流の物語として完結したけれども、そういった複雑な問題も匂わせているあたりが、この作品の魅力となっているように思いました。
夏目を困らせようとしたカイが、無邪気に友人帳を隠そうとしたところで押し花に気づいて涙を流すのは良い場面。登場人物たちがそろって花見をする中、ニャンコ先生が夏目を友人帳の持ち主として認めるような発言するあたりも、物語の締めとして余韻を残すものとなっておりました。
 
・まとめ
作品のテーマについては上に書いた通りで、一つ一つの独立しているエピソードを連ねることで、それを浮かび上がらせるのは良くできた構成。そしてそれを重苦しくなることなく、穏やかな雰囲気で見せてくれるのが印象的でした。