ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

エヴァの新劇場版を今更ながらに見てきたので、感想を書いておきますよ。
閉塞感が漂いギスギスした人間関係が重かった旧作と比べると、全体的に前向きで暖かみが感じられる作り。綾波とアスカが料理に取り組む姿を通してチルドレンたちの交流や、彼らを大人として導くミサトや加持、そして海水を浄化する施設で語られる生命の大切さ等々、人と人とのふれあいの大切さみたいなのが前面に押し出されておりました。
綾波がシンジとゲンドウの仲を取り持つために食事会を企画したり、あのゲンドウがそれの参加に同意するのが意外。綾波とアスカが無言でエレベーターに乗る有名な場面も、絆創膏を小道具として、アスカが綾波を理解するものとして意味づけが大きく変わっていましたよ。
参号機のテストをはじめる前のアスカとミサトの会話も心温まるものでしたが、それだけにその後に起こる出来事の悲惨さが際だつものに。クライマックスとなるゼルエルとの戦いも、シンジが積極的に綾波を助けるように改変されていて、悩みながらも前に進む主人公としての彼が強調されていた印象。
話の流れは基本的に同じでありながら、雰囲気が大きく変わっているのは、総監督であり脚本も担当した庵野秀明が、この十数年で結婚を経験し心境が変化が反映されているかのようで、その心境の変化があるからこそ、今回のリメイクに挑んだのかと思えるものでしたよ。
アクションシーンは大迫力で映画館の大きなスクリーンでみると満足感もひとしお。唱歌は悲壮さを際だたせる演出なんだと思いますが、一度ならともかく二度繰り返されるとちょっとしつこいような気がしなくもなく。
日常パートは、人物たちの心境の変化を見せる要所は押さえられているものの、尺的に物足りない感じで、コミュニケーションを重視した方向に持っていくのなら、もっと時間をかけてじっくりと見せて欲しかったなと。まあ時間的な制約があるので、これでいっぱいいっぱいなんだとは思いますが。
新キャラのマリは、無理矢理ねじ込んだ感があったりもするわけですが、まあ三作目にも出てくるようなので、そのための顔見せといったところでしょうか。