けんぷファー 第11話「Wahlen〜歓喜の歌〜」

次回が番外編とのことで今回が実質的な最終回となるわけですが、なかなかスゴイ出来でしたよ。とってつけた様な設定明かしと結局決着の付かないバトルにナツル争奪戦とダメな最終回の見本のような展開なのに、勢いだけで盛り上げてしまうという。
冒頭で、ケンプファーになってが戦わされる理由を知るために、背後にいる存在と戦う覚悟を決める、みたいな感じで結末に向けて話が動き始めたと思ったら、そこから一気に急展開。異なる宇宙で対立する勢力の代理戦争という壮大なスケールの設定がアッサリと明かされ、ナツルが洗脳されたり洗脳が解けたり、白軍団を秒殺したり楓に秒殺されたり、ナツルが雫たちを選んだり、選ばれたらパワーアップしたり、臓物アニマルたちが第九を歌ったり、結局ナツルの取り合いになったりと詰め込みまくりの内容となっておりました。
一見、大量の情報を詰め込み勢いだけで押し切ってるようで、まあそれに助けられてる部分もかなりあるわけですが、実は物語としてもそれなりにまとまっていた印象。
ケンプファーの中でナツルだけが男で変身の際にわざわざ女性化する理由が、戦いの勝利条件と関係していることが明らかになり、ナツルが洗脳によって楓側に付くものの、雫との繋がりを象徴するつまらないストラップによって正気を取り戻し勝利するというあたりに、これまでの話が生かされておりました。ナツルが決断を迫られるあたりも最終回らしい展開で、楓ではなく雫たちを自分の意志で選ぶこともこれまでの話からすると納得のいく選択。「戦いよりキスの方が重要」とか言って逃げる敵をほっぽって恋のバトルをはじめるのには、おいおいとか思ったりもしましたが、まあ日常を取り戻すことができたということなのかなと。無茶苦茶なことをやりながらも、ここら辺がちゃんと描かれていることが、なんかスゴイというか見終わった後の爽快感みたいなものに繋がっていたように思いました。
モデレーターとの戦いはウヤムヤになったものの、大きな謎とされていた戦わされる理由が明らかになり、一矢報いることもできて一応は一段落。決着の方は、もしかしたらあるかも知れない続編に期待ということで。個人的には、ナツルがイチャイチャされたり女体化して羞恥プレイを受けるような日常話を、OVAあたりでTVでは見せられないような描写をたっぷりと盛り込んだのを見たかったりするわけですが、とにかくキャラクターとその関係性が楽しい作品だったので、もう少し続きが見たいなと。
バトルシーンは露出の多さと派手なエフェクトのおかげで楽しい仕上がり。空中に臓物アニマルたちの立体映像が浮かぶのもインパクトがありました。最終バトルでパワーアップして勝利みたいな展開はありがちではありますが、強化されるのが武器ではなく露出度というのが、この作品の方向性をよく表わしているように思いましたよ。