青い文学 第12話「地獄変」

はじまりは主人公である絵師が、自分で目にしたこの世の地獄を絵にする事だったわけだけれども、いつしか手段が目的化し、地獄を描くために人が焼かれる様子を見ることを望み、ついに自分の娘が焼かれる姿を見ることでそれが叶うということで、芸術家の狂気みたいなのが描かれておりました。王の行動を否定的に見ていた主人公が、それによってもたらされた世界を描く過程で王と同じ道をたどるのが皮肉めいていて、人間の業を暴く怖い話でしたよ。
娘が焼かれる場面は激しくも幻想的。蜘蛛の糸と同じく、芥川龍之介の小説を原作にするということで、舞台設定や登場人物を共有させたのが興味深い試みでしたが、特にそれ以上の意味がなかったような気も。