青い文学

青い文学 第12話「地獄変」

はじまりは主人公である絵師が、自分で目にしたこの世の地獄を絵にする事だったわけだけれども、いつしか手段が目的化し、地獄を描くために人が焼かれる様子を見ることを望み、ついに自分の娘が焼かれる姿を見ることでそれが叶うということで、芸術家の狂気…

青い文学 第11話「蜘蛛の糸」

原作は、蜘蛛の糸を登っていたら切れて地獄に逆戻りという短い話で、さすがにそれだけで一話通すのは厳しいようで、前半は独自の要素としてカンダタの悪辣ぶりを描く作り。金のために人を殺めるだけでなく、単に空腹を満たすためだけに罪のない女を手にかけ…

青い文学 第10話「走れメロス 後編」

自身が裏切られた記憶に捕らわれ執筆が滞るわけですが、友人との再会を経てわだかまりが解消されて作品が完成するという展開。作家の心情とメロスの物語がシンクロしていく様は圧巻で二人が和解する場面は感動的でしたよ。「走れメロス」のように、友人のた…

青い文学 第9話「走れメロス 前編」

誰でもあらすじくらいは知っているであろう太宰治の有名作品のアニメ化。「作者」が大きく前面に出てくるということで、原作をそのまま映像化するのではなく、作品が創作される過程とそこから露わになる作者の過去を並行して描くという、なかなかに挑戦的な…

青い文学 第7、第8話「こゝろ 前編・後編 」

夏目漱石の有名な作品のアニメ化。お話としては「先生」と「K」との間の友情と一人の女性を巡っての葛藤、その果ての悲劇といったところで、そのまま昼メロにでもなりそうな題材。三部構成の原作の下にあたる核心部分を、先生の視点で描く前編とKの視点から…

青い文学 第6話「桜の森の満開の下 後編」

満開の桜の下で女を殺し、自身もまた花びらと共に消えるということで意味するところを受け取る側の解釈に委ねる結末。際限のない欲望を突きつけてくる女は、山の暮らしに満足していたはずの主人公の抑圧された一面を具現化した姿であり、自分の一部であるそ…

青い文学 第5話「桜の森の満開の下 前編」

坂口安吾による「桜の森の満開の下」のアニメ化。これの前の「人間失格」の方は全体的にくすんだ色調で、内容通りの陰鬱な雰囲気を醸し出していたのに対して、こちらは一転して明るい色合いにギャグあり歌ありで軽めな話・・・かと思ったら、単純な男が奸婦によ…

青い文学 第4話「人間失格 #4新世界」

人間失格編の最終回。主人公が得たひとときの幸福が語られるものの、最後にはすべてを失うというなんとも後味の悪さが残る結末でしたよ。前半の不安定さを残しながらもそれなりに満たされている様子から、父親の死に友人の出征、そして妻の身に起きる事件と…

青い文学 第3話「人間失格 #3世間」

主人公が「世間」に怯えそれから逃れるために酒に溺れていくわけですが、一人の少女と出会うことで光明を見出すと言ったところ。 ラジオやニュース映画で伝えられる情勢に出征していく兵士たちと戦争の色が濃くなっていく世間と、ひたすら自分の殻に閉じこも…

青い文学 第2話「人間失格 #2お化け」

主人公の半生を振り返りつつ、心中事件の後、精神と社会の両面で追い込まれていく様子を描く話。道化としての自分を嫌悪しながらも、他人の望むように振る舞うことしかできない姿が痛々しかったですよ。道化なら道化として、開き直ることが出来れば楽になる…

青い文学 第1話「人間失格 #1鎌倉心中」

名作文学の表紙を人気漫画家が描いたら売り上げ増、みたいな出来事がしばらく前に話題になっていましたが、それを元に表紙を描いた人の絵でその作品をアニメにする企画らしく。今回は太宰治の「人間失格」を小畑健のキャラ原案で映像化しておりました。 見栄…