青い文学 第6話「桜の森の満開の下 後編」

満開の桜の下で女を殺し、自身もまた花びらと共に消えるということで意味するところを受け取る側の解釈に委ねる結末。際限のない欲望を突きつけてくる女は、山の暮らしに満足していたはずの主人公の抑圧された一面を具現化した姿であり、自分の一部であるそれを失ったことで彼自身も消え去るといったところでしょうか。どこからともなく落ちてくる花びらに、尽きることのない欲望を重ねて恐怖していたと。
都が牛に占領されたり携帯電話が出てきたり魂が抜け出したりと、場違いに思えるギャグがところどころに入るわけですが、それによって首を集めるという行為の陰惨さを中和しつつ、独特の味わいを醸し出していた印象。クライマックスである桜の花の下で女の首を絞める場面は、その美しさとそこで行われる行為が強烈なコントラストを描いておりました。