アニメを語る上で読んで欲しい三冊

不定期更新化するついでに感想を書く上での種本というか、個人的に影響を受けたものを三冊ほど挙げておきます。

文学部唯野教授筒井康隆
かなり昔に読んだ本だけれども、主人公による講義という形で解説される批評理論の数々に、批評といってもいろいろなやり方があるんだなぁと感銘を受けました。本書で扱っている分野は文芸ですが、印象批評からポスト構造主義までを扱ったこれを読めば、何かを語るということについて得るものがあるでしょう。
「批評ってやつは、批評しやすいものを選んで批評する」という一文が印象に残っています。

「映画技法のリテラシーI&II」ルイス・ジアネッティ
評価の高い映画の教科書だそうで、画面の構成からカメラワーク、音楽に俳優の演技にストーリーテリングといった種々の要素について、実際の映画のワンシーンを元に解説してくれます。基本的なことは全部書いてあるとのことで、そのほとんどは同じ映像作品であるアニメにも当てはまります。
黒澤明小津安二郎といった日本の監督の作品も数多く取り上げられていて、彼らが世界的に評価される理由も分かりますよ。

「METHODS 〜押井守パトレイバー2』演出ノート 」押井守
パト2で実際に使われたレイアウトを元に、監督自身がその演出意図を解説するということで、ことに演出に関しては、「映画技法のリテラシー」を基礎編とすればこちらは実践編。
冒頭から延々と続く、自動車の中におけるカメラのアングルだったり焦点だったりの微妙な違いについての解説には、何気ない場面でもそこには莫大な情報が詰め込まれてるんだなぁと驚かされますよ。そして見る側としては、込められたものを出来うる限り読み取りたいとも。
イノセンス版もありますがまずはこちらを。amazonではプレミア価格ですが、復刊ドットコムだと定価で買えます。

それではまた。