俺が「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」を見た上で覚えた違和感について考えてみる

容姿学業スポーツと各分野に秀でた完璧超人な妹が、妹もののエロゲ好きのオタクだったということで、インパクトのあるキャラクターによって今期の注目作となっているわけですが、個人的にどうにもこの作品に対してモヤモヤとしたものがぬぐえないので、それについてまとめてみる。
この作品には、よくできた妹がオタ趣味という一点において、父や友人といった他者から否定され、兄が尽力することで彼女を救ってあげるという構造がある。
妹を中心に見れば、ありのままの自分が全肯定される物語であり、兄を中心に見れば自己を否定され傷ついた女の子を全肯定してあげる物語となっていて、そこら辺が受けてるんだろうなというのは理解できる。
どちらの視点から見ても受け手が気持ちよくなれるように作られているわけだけれども、引っかかってしまうのが、結局は兄が妹の負の面をかぶるという形でしか肯定できていないところ。妹の18禁ゲームを全部俺のものだと言ってみたり、妹のエロ同人誌を許されない愛の代償として集めているだのと言ってみたりと。
父親と友人は、兄の嘘に気づいた上で妹のためを思って自分を捨てて必死になっているからと妹を許すわけですが、よく考えるとそれって妹じゃなくて兄を認めてるだけなんじゃないかと。
表面的には妹のオタ趣味が肯定されているように見えるにもかかわらず、その実、兄の必死さが肯定されているだけだという。
デリケートな問題を迂回しつつ話をまとめるために論点をすり替えられちゃった感じで、解決したことになってるけど、それって違くね?感が残る展開の二連発。この作品に対して自分が感じるモヤモヤは、ここに原因があるように思う。
とりあえずアニメを5話まで見た印象は以上。続きを見ればまた印象が変わるかもしれないです。