『劇場版AIR』

時間が出来たので、購入しといたDVDを視聴。
見はじめて驚いたのが、コントラストのキツさと入射光の多さ。夏の日差しを再現する為なんだろうけど、再生機器の設定間違えたのかと思いましたよ。まあ見てるうちに慣れましたが。あと止め絵の多用も気になったり。監督が出崎統だから、あるのは分かってたけど、ちょっと多すぎて見てるこっちの集中力が途切れちゃうかな、と。
ゲームはやってないんでTV版との比較になるんだけど、一番大きな違いが翼人伝説の扱いですかね。TV版だと千年前の出来事が描かれる事によって観鈴の病気や往人の力の由来が明確になり、何十世代にも渡る宿命という時間的なスケールを感じさせたんだけど、劇場版では、単に観鈴の住む町に伝わる伝説として語られるだけで、観鈴と往人との関係がハッキリと描かれずじまい。観鈴の病気と往人の力から、一応何か関係があることが仄めかされるわけですが、扱いが中途半端というか。往人の力もTV版では千年に渡る呪いを断ち切るために重要な役割を担っていたわけですが、劇場版では姿を消した観鈴を見つけ出す時に役立っただけという。まあ91分という上映時間じゃ、そんなに入りきらないだろうし、超常的な力なんかなくても人の心は救えるということなのかもしれませんが。
・・・などと、いろいろ書いてみたわけですが、実は劇場版の観鈴を見てその健気さに涙ぐんでしまったわけで。晴子を母親として受け入れて本当の母親の写真を焼くところとか、体の痛みは我慢できるけど心の痛みは我慢できないと告白するところとか、往人にキスを迫って精一杯の愛情を示すところとか。自分の命が長くないのを悟りながら、それでも一生懸命生きようとする姿は、劇場版が一番よく描けてたように感じましたよ。世間的な評価はあまり良くないようですが、個人的には、この観鈴が見れただけでもDVD買った価値があるなぁ、などと思うわけです。