『絶対少年』 第17話「それは関与できない問題」

観覧車から見た横浜の風景が凄かった。背景さん、いい仕事してますな。
須河原が宙吊りになっている間に下界では人間関係が大きく動いたりしてるわけで。成基が希紗と会っていい雰囲気になったり、深山美佳がマテリアルフェアリーの件で正樹に近づいたり、理絵子と成基が会って希紗のことで揉めたり、成基とおはなさんと将棋さしたり、成基がリーグ戦で負けて、また理絵子とひと悶着あったりと、いろいろと。
リーグ戦を控えた成基が希紗に会いに行くわけですが、これで成基→希紗は鉄板かな。今までは希紗の方から成基に連絡取ってるだけで彼の胸の内がイマイチ読めなかったけど、勝負の前日という精神的に不安定な時にわざわざ会う相手ということで。携帯が頻繁に使われるこの作品で連絡なしで直に会う意味は大きいかと。あと、成基に「いないと困る」と言われて照れた希紗が肘打ちをするのが可愛かったです。
正樹に猫踊りの夜のことを話したり須河原のことを尋ねたりで、美佳もフェアリーについて大いに興味がある模様。にしても、須河原といい美佳といい大人の女はみんな正樹に近寄りますな。頼りなさそうなところが保護欲をくすぐるんですかね。まあ、隙があって近づきやすいだけな気がしますが。
成基に対して学校に来るよう希紗を説得して欲しいと頼む理恵子。成基には偽善だみたいに言われてましたが、彼女は彼女なりに希紗のことを心配してるんじゃないかなと。それが他人と同調して生きるという彼女の基準に基づくものであるだけで・・・ってそれを偽善と言うのか。
将棋では成基に負けたおはなさんだけど、リーグ戦を控えて不安定な成基に対して助言をして勇気づけるあたり、人生の大先輩としての貫禄がありますな。成基の父親が元演劇青年で「マクベス」→「make base」→「基地を作る」→「成基」という名前の由来が明らかに。
結局、リーグ戦で負ける成基。前日の言い争いのことで謝りに来た理絵子に「勝とうが負けようが自分の責任」と言い切るあたり大人ですな。他人と同調して馴れ合っている理絵子には理解できない考えのようでしたが。プロ棋士になることが目的から手段に変わったことを語る成基がカッコよかったです。
こう見てみると、今回は成基というキャラクターに踏み込んだ話なんですな。彼の行動原理を描いて希紗や理絵子のそれと比較して見せるという。サブタイの「それ関与できない問題」のそれとは、人それぞれの生き方のことで、今回はそれとどう関わるかという話なんですかね。自分は他人に必要とされてないと思い込んで殻に閉じこもってしまったのが希紗、自分がそうして欲しいからと何にでも関わろうとするのが理絵子、自分は自分の道を行くしかないと覚悟を決めたのが成基と。須河原が閉じ込められてたせいで妖精関係に進展はなかったけど、人間関係や人物の掘り下げという意味では中身の濃いエピソードでしたな。