蟲師 第三話「柔らかい角」

蟲たちが発する音は、とてもうるさくて人間に耐えられるものではないけれど、生命そのものに近い存在だけあって原初の美しさに満ちているといったところですかね。今回の登場人物である真火にとっては、母親が聞いていた音でもあって、母親と自分を繋ぐものでもあるわけで。
今回は音がテーマということで、音響が凝っておりました。手で耳をふさいだ時、徐々に大きくなっていく地鳴りのような音とか。あと、銀弧と対面したときに真火が体験している音を視覚的に表現するのも、彼のいる世界を視聴者に伝えるという意味でとても効果的でした。
貝を耳に当てた時の音を海に例えるのはよくありますが、手を耳に当てた時の音を火山の地鳴りに例えるのは新鮮。ぶっちゃけちゃうと、ただの類似に過ぎないわけですが、溶岩の赤と血の赤とか、地球の活動と生命の繋がりとか、いろいろと想像が広がって行くのが面白いですな。