蟲師
BS版もついに最終回。山を渡り歩く少年と里で暮らす少年の物語といった感じで、いつもの蟲によって引き起こされる怪異みたいなのはないんだけれど、話の背景にはこの作品ならではのアニミズム風の設定があって、独特の雰囲気を出しておりました。二人の少年…
未来を予見する目を持っても、決して変えることの出来ない運命の流れみたいなものを感じさせる話でした。蟲に対しては、さまざまな対処法を持つギンコも、定められた未来までは変えることは出来ないようで、結局、彼も運命に翻弄される人間の一人でしかない…
「蟲を火で焼き払ったために報いを受けました」で終われば、ありふれた安っぽい教訓話になるところだけど、もう一歩進んで住処をかけた生き物同士の争いといったところにまで話を持って行くのが、さすがといいますか。同じテーマを扱った「綿胞子」のエピソ…
錆に似た蟲を呼び寄せる声を持った少女が今回の主役。蟲に蝕まれた町と人々を助ける為にギンコが見つけた解決策、やまびこで散らすとか海辺で暮らすといった方法を、少女が偶然先回りして実践するのは、出来すぎた話で、まあフィクションだし・・・。と言っ…
産み直しとそれに説得力を持たせる蟲の設定が秀逸。よくまあ、こんな面白い設定がいくつも作れるもんだと、毎度のことながら感心することしきり。 人の時間を喰う蟲ということは、産み直された存在は記憶を引き継いでいないわけで、それを元の人間と同じよう…
綿吐きが不気味。次々と同じ姿の子供が出てくるだけでも怖いのに、それが知恵をつけて人の言葉を話したりしたら、とても耐えられないような気がするんだけど、それを受け入れることが出来るのが人の親というものなんでしょうかね。 夫婦には綿吐きの偽者を渡…
来週からBS FUJIで放送される21話以降に先駆けての作品紹介番組。各話の見所に世界観と蟲、美術と音楽の説明があって、それらの間に監督をはじめとするメインスタッフのインタビューが入るという構成になっておりました。はじめて見る人はどうか分からないけ…
ギンコと淡幽は、流浪する者と留まる者、蟲に直接関わる者とそれを聞き記す者と相対する存在であるわけですが、ともに蟲に体を蝕まれながらも、それらを受け入れ愛情にも似た感情を持っているという点では近しい存在なんだなと。そして相反しながらも近くに…
蟲の存在を絡めてはいるけれど、中身は吹と清志朗の恋物語といったところ。容赦なく辛い結末を持ってくるこの作品のことなんで最後まで気が抜けなかったけど、ハッピーエンドで終わって一安心。蟲の気を帯びた吹を見ることができるギンコを羨ましいといって…
Aパートにまったくギンコが出てこないという珍しい構成。蟲についても、いつもの生命の奥深さや自然の摂理の象徴というよりは、人の身近にあって人と自然を繋ぐモノとしての側面が描かれておりました。 小道具としての羽織の使い方が印象的で、絵師が羽織を…
密室を住処にするという蟲・ウロの設定と話への絡め方が秀逸。移動の際に虚穴を拡げながら進むということで、文を送るには、それが数年という使用制限を生むのに対して、双子の妹のアヤが送り続けた文は、虚穴が拡がったおかげで姉のイトの元に届き、彼女の…
陰マモに続いてちょっと天然入ったキャラが登場したりして、あっちの蟲兵衛は、これを踏まえていたのかと思ってみたり。いや、ありえないけど。 記憶を食べるという蟲に寄生された母親の話で、思い出せない、ではなくて、記憶そのものがなくなって存在を忘れ…
雪深い山の中の緑あふれる空間は、流浪することを宿命づけられたギンコの前に現れた姉弟を暗示しているのかな。蟲のせいで流浪を続けるギンコに、ひと時の安らぎをもたらすきっかけとなったのもまた蟲というのがなんとも皮肉。ギンコとミハルの別れ際の、蟲…
竹取物語ならぬ竹に捕われ物語だったり。 竹林の中から出られなくなるという怪談風の導入にはじまり、白い竹とそれと人が交わって生まれたというセツの話にもって行くのが上手くてついつい引き込まれちゃいますな。竹と人の間の子だから、生まれるのが竹の子…
光を得る為に他の生物の死体に寄生する蟲というアイデアが面白いですな。心を失ってもただ動いて呼吸するというだけで、生きているように感じたり、寄生していただけの蟲を宿主の生まれ変わりのように感じて、橋を渡れなくなってみたりと、見た目や関係性で…
「蟲はあるようにある」とすべてを受け入れ、夫や子供を飲み込んだトコヤミの傍らで、自分が飲まれるのを待つぬいの姿が物悲しく。 蟲師・ギンコ誕生秘話といった感じで、彼の隻眼や銀髪、そして名前の由来が明らかに。一時のこととは言え、母親代わりになっ…
フジお得意の連続放送ということでもう一話。 人の身にありながら山の主となった蟲師の話。蟲を引き付ける性質でかつて放浪してたり、互いの境遇を羨んだりして、もう一人の銀弧といったところか。山を守り人々に慕われる彼が最後に取った行動と彼が山の主と…
久しぶりの放送だからというわけでもないんだろうけど、話の方も久しぶりに蟲によって引き起こされた病の謎に迫るみたいな。空気中の水分を食べる蟲が、気圧で開放されたりして、奇想天外な存在にリアリティを与えるのがやっぱり上手いなと。湧き上がる蟲が…
大勢の人間を救う為に、一人の人間を犠牲にすることは許されるのか?という問いかけが重いですな。はじめは不遜な印象で犠牲を必要なものとして割り切ってる感じの祭主なわけですが、実はその犠牲として自分自身を選んでいたという。最後に不老不死になるの…
再会した妻の時間が3日しか経ってなかったのは、蟲が彼女を取り込んで思いだけを留めていたってことなんですかね。仲たがいしたまま妻を失い、新しい生活の中でもそのことを引きずっていた男なわけですが、妻を奪ったのもその妻に対するわだかまりを解消し…
生きている虹を追い続ける男という男の話なわけですが、その過程で、病身の父親を捨てて故郷から逃げ出した彼の心情が語られて、やるせない気持ちになってみたり。父親に取り憑き、自分が逃げ出す原因を作った虹を捕まえてつれて帰ることで、故郷に人たちを…
生神の少女が蟲に寄生されているときの時間感覚を語る場面の映像が印象的。影や雲が定点撮影したようにめまぐるしく動いたり、雨の水滴が高速度撮影したように止まって見えたりと、「一刻一刻があたらしい」という彼女の感じる時間の流れを上手く表現してい…
銀弧が蟲に関する品を集めている理由が明らかに。収集家に売って、それを路銀に当てて・・・と、以前プレイしていたオンラインRPGで同じようなことをやっていたのを思い出してみたり。 生き沼と同化する道を選んだ娘を、銀弧が引き止めるという話なわけです…
救われないね・・・。てっきり、みんなが生き返る夢を見て、全部元通りになるのかと思ったんだけど。これまでも蟲にとりつかれた人が出てきたわけだけれど、最後には助かるし、話としても生命の力強さみたいなのを描いていたのに対して、今回はただお互いの…
蟲たちが発する音は、とてもうるさくて人間に耐えられるものではないけれど、生命そのものに近い存在だけあって原初の美しさに満ちているといったところですかね。今回の登場人物である真火にとっては、母親が聞いていた音でもあって、母親と自分を繋ぐもの…
目からスライムみたいなのが出てくるところで、ぷちこの目からビームを思い出してみたり。 要するに少女の目に取り憑いた蟲を主人公が払うというだけの話なんだけど、その中で語られる、二つ目の瞼や地下を流れる光の河といった概念が幻想的でついつい見入っ…
蟲の存在の説明が面白いですな。進化の系統樹を血管に例えて指先が人間で胸の辺りに蟲がいるという。生命の象徴である心臓の近くに蟲を置くことで、命の根源に近いというその性質を上手く現しております。現実には存在しないものでも、こう説明されるといて…