蟲師 第八話「海境より」

再会した妻の時間が3日しか経ってなかったのは、蟲が彼女を取り込んで思いだけを留めていたってことなんですかね。仲たがいしたまま妻を失い、新しい生活の中でもそのことを引きずっていた男なわけですが、妻を奪ったのもその妻に対するわだかまりを解消してくれたのも同じ蟲というということで、過酷さとやさしさを併せ持つ自然現象としての蟲という存在を感じさせる話でした。妻と再会し蟲に取り込まれそうになるのは、失われた過去への憧憬というか生命の根源である蟲への回帰というか、そういう感じの誘惑なのかなと。浜に打ち上げられた遺品を見て、もう持ち主はいないという男が、過去と決別して未来に向けて進みはじめたんだなと思わせて希望のある終わり方でした。
毎回丁寧な動きを見せてくれるこの作品だけど、今回は特に力が入っていた感じ。岩場へ降りる男の不安定な歩き方とか、妻が起き上がるところの仕草とか、とても自然で素晴らしかったです。
gifアニ
顔と肩の動きだけで足場の悪さを見せるのが凄いですな。