ARIA The NATURAL 第25話「その 白いやさしい街から…」

最終回だというのに灯里とアリシアは、仕事をせずに雪だるまを作るという。
前回も十分最終回にふさわしい話だったけれど、メインキャラを集めての総決算的な話ではなく、街の名もない人たちと仲良くなる話を最後に持ってくるのが、このアニメらしいところ。これからも灯里はいろいろな人と出会っていくんだろうなぁと思わせて、物語を閉じるのではなく更に広げる感じがして良かったですよ。
最後にガラス工房や棄てられた電車といった、話の舞台となった場所に雪が積もっている背景だけのカットが、これまで話を振り返る感じで最終回らしい雰囲気を出しておりました。

・まとめ
とりあえず、感動とか善意とか肯定的な感情だけで話を3クール持たせたことに素直に感心。
はじまったころはユルいアニメだなぁとか思って恥ずかしいセリフの数々にも抵抗があったんだけれど、気がつけば毎週楽しみになっていましたよ。特に大きな事件が起こるわけでもないのに飽きずに見ることが出来たのは、ネオヴェネツィアという街やそこで暮らす人々の姿を灯里をはじめとする登場人物たちを通して瑞々しく描いて見せてくれたおかげでしょうか。細かい仕草まで気の配られた人物の作画(時々怪しいこともあったけど)や、時間や四季で移り変わる街の様子を写す背景といった絵の方面での丁寧なつくりが、その瑞々しさに説得力を与えておりました。
灯里が最後までウンディーネとして一人前にならずに、その方面での成長がまったく見られなかったのがちょっと残念。毎回遊んでばかりいたからでは・・・とか思ったりもするんだけれど、この作品で方向性を考えると一人前を目指して努力したり挫折したりというのも違う気がするので、成りたいという前向きな意識だけを見せて終わるのもアリなのかなと。それをモラトリアムと言うのかもしれないけど、善意に包まれてそのままの自分でいられることが、この作品の心地よさを生み出す源のひとつになっているように思いました。