くじびきアンバランス 第12話「ゆめをかなえてみよう。9点」

千尋と律子が夜の公園を連れ立って歩く場面が素晴らしかったですよ。律子が自分の秘密を明かして千尋を励ますのが感動的で、この瞬間のために今までの話はあったのかと思えるほどに。ヘルメットを脱いで女の子らしい素顔を見せる律子が可愛らしく、弦とピアノのBGMも静かな雰囲気を醸し出しておりました。
千尋を巡る三角関係については明確な結末が描かれなかったけれど、律子の留学という選択が示唆的で、時乃に遠慮して身を引いたとも、子供時代の淡い想いからの決別したとも、いろいろな受け取り方を出来るようになっていて、関係がこの先どうなるのか気になる終わり方でよかったですよ。鳥の糞が靴に落ちるラストカットも秀逸。
 
・まとめ
派手なアクションに日常的な小芝居にと、全体的に作画に力が入っていた印象。特に日常的な仕草については、元が目の大きいいかにもアニメといった感じのデザインなだけに、それが細かい仕草や表情を見せるのところに倒錯的な快感が感じられました。
内容的にも作画と同様に、宇宙人が出てくるようなバカバカしさと、情感豊かに描かれる幼なじみの三角関係という両極端な世界が並立していて、時々話が飛びすぎてついていくのが大変なところもありましたが、最後にはそれらをキチンとまとめていたことに感心しましたよ。
全話を見終えて素直にいい作品だったと思えるもので、げんしけんの作中で小ネタとして生まれた作品をここまで拡げて見せてくれたスタッフに感謝を。