ef - a tale of memories. 第7話「I...」

蓮治と千尋、紘とみやこ、壊れていくそれぞれの関係といったところ。
自身が語った小説の結末に対する解釈という覚えていて当然のことを聞き返したり、その結末について二つの案のどちらを採るかが、日ごとに変わって正の字で記録しなければならなかったりと千尋の小説の執筆が堂々巡り。小説の結末についてのブレは、その登場人物と重なる二人の関係を不安定なものにして、千尋に対する蓮治の気持ちが揺らいでいくという。千尋がキスを許すのは蓮治に対して好意を持っていればこそなんだろうけれども、他人事のように語る言葉が、まるで彼女が書いた小説の一場面であるかのようで、それ聞いた蓮治が戸惑い素直に受け入れられないのも無理のないところ。記憶がリセットされる千尋にとって精一杯の気持ちの表し方だったことに気づいた彼が繰り返す「違うんだ」というセリフに痛々しいものがありました。フラッシュバックの前に入る砂嵐、大げさな身振りをシルエットで描くカットと、蓮治の増して行く不安や戸惑う様子を見せる演出のキレが印象的でした。
後半はみやこの生い立ちから負の部分が描かれていくわけですが、彼女が追い詰められていく様を、溜まっていく留守電のメッセージとそれをひたすら画面に重ねていくことで見せるのが凄かったですよ。動かない画面は手抜きというか、作画面での労力を抑える意図があるんだろうけれども、強迫観念にかられる彼女を描くという意味ではこれ以上ないと思えるものとなっておりました。Cパートでメッセージを消す景の行為やそれが何をもたらすのかを考えると怖いものが。
紘を中心とした話は、三角関係のありがちな展開を演出で見せるといった感じでそれはそれで面白いわけですが、個人的には記憶障害を持つ少女との恋愛を、その少女が書く小説との二重構造で描く蓮治と千尋の物語により興味を惹かれるものがあります。