ef - a tale of memories. 第9話「forget me not」

記憶を失った千尋が日記を頼りに過去を取り戻していくわけですが、そのことがまた蓮治を苦しめるという辛い展開。千尋からの告白が微笑ましくて、二人の関係が記憶を失う直前にまで戻ったかのようにも思えるんだけれども、次の海辺の場面で、以前の自分は死んだのかと問う千尋に対し、それを否定しながらも涙を流す蓮治の姿に、二人の時間が決定的に失われたことが分かるようになっておりました。廃駅における蓮治の背景が空だったり駅舎の壁だったりと頻繁に入れ替わるあたりに彼の戸惑いが現れていて、海辺で涙を流す直前の目を画面の外に置いたカットや砂の城を前に慟哭する姿と、揺れ動く彼の心理を巧みな演出で描くのが印象的。忘却と再生を繰り返す神である千尋を、彼がどのように受け入れることになるのかに注目したいところ。
紘とみやこの浜辺でのキスから、原稿用紙のあるところ云々という流れにはドキドキしたりもしましたが、一方で部屋の中での服の散らばり具合が生々しくてちょっとおかしくもあったり。紘をめぐる三角関係は、お互いが必要とするものを持っていたということで彼とみやことの関係に落ち着ついた模様。紘を失った景と京介の関係がどのように進展していくかに期待。