ARIA The ORIGINATION 第13話「その 新しいはじまりに…」

4クールに渡るこの物語を締めくくるのに相応しい最終回でしたよ。
灯里がプリマとなったことでアリシアとの別れが訪れ、藍華やアリスとも別の道を歩んでいくことなるわけですが、未練を残しながらもそれを受け入れてひとり立ちしていく彼女の姿が、丁寧な作画と丹念な演出によって描かれていて感動的。アリシアと抱き合う場面での別々の道を歩いているという灯里のセリフや、アリシアの引退セレモニーの静謐な雰囲気、そして思い出に囲まれながらもそれに溺れずにシャッターを開けて仕事を始める灯里といった場面が心に残るものでしたよ。メールのやりとりをしていたアイを、最後に弟子として登場させるのも心憎い演出。
何も変わらないかのように思える穏やかな日々の中でも確実に時は流れて皆それぞれの道を歩んで行くということで、感傷を残しつつも、この作品らしい未来に向かって開かれた素晴らしい結末となっておりました。

  • まとめ

一期のころから丁寧に作られた作品でしたが、シリーズの締めとなる三期目の今作は、特に作画やレイアウトに力が入っていた感じで絵的な完成度が非常に高く、思わず見とれてしまうものに。ワイドサイズになった画面もネオヴァネツィアの美しさをより引き立ててくれました。
話的には、マッタリとした独特の雰囲気を残しながらも、灯里をはじめとする登場人物たちの成長や環境の変化を描くものとなっていて、火星に移築されたヴェネツィアを舞台に、なぜかじゃがバタがあったりして楽しそうなものなら何でもありの出てくる人物が善人だらけの癒しの世界から、一人で歩み出すというのが印象深い結末となっておりました。