紅 kure-nai 第10話「慣れの恐怖」

紫を失い腑抜けた真九郎の姿を描くわけですが、失意に打ちのめされるというよりは単なる仕事上の失敗として受け入れようと勤めて平静を装うといった様子がかえって痛々しく。そんな彼が復活するまでを描くということで展開的には予定通りといったところなんだろうけれども、取り巻く女性たちによるそれぞれの立場からの叱咤や励ましを受けることで、自分がなすべきことを見出すまでが丁寧に描かれていて良かったですよ。特にこれまで真九郎の力を疑問視していた弥生が自分の失敗を語ることで彼に共感を表して共に九鳳院の屋敷へと向かうくだりや、なんだかんだ言いながらも真九郎の気持ちを汲んでくれる紅華の懐の深さが印象的。
九鳳院の家で抑圧され生気を失っていく紫が可哀想で、こぼれたお茶を拭く場面で対比される真九郎との生活がそれを強調するものに。紅華が紫を連れ出した理由である恋愛感情云々は随分と気が早いなぁという気もするところですが、まあそれ抜きにしても彼女の精神の発達のためには幼いうちに動く必要があったんだろうと思うことにしましたよ。