RD 潜脳調査室 第23話「人間律」

久島の残したAIによって気象分子の危険性が明らかになるも、先手を打ったその開発者によって書記長の権限が剥奪され、それを止める手立てを奪われるといったところ。
気象分子の引き起こす災害は数千度の熱とかイオンとかなりスケールの大きな話となってきたわけですが、一話における変電所の壊滅やジャングル調査の話での通信の途絶、また10話で登場したややこしい名前がついた方式のAIを応用した久島のAIと、これまでの話を伏線としてキチンと生かしているのは丁寧な作りとなっていましたよ。人工島の未来のためと言いながらこれまで築き上げた信用や費やした時間にこだわり、破滅への道を突き進む気象分子の開発者の人の行動も、遡ればソウタとミナモの父親が降格させられる9話の時点でそれが垣間見えるわけで、緻密な物語の構成に感心させられました。
ダメになったらはじめからやり直せばいい、というミナモの言葉が書記長の決意を後押ししているわけだけれども、ある程度の年齢を過ぎると厳しいものがあるのも事実。50年の眠りから目覚めたハルや、記憶を失ったホロンとの関係を築き直すソウタと、やり直すことが作中で繰り返し描かれいるあたりは、地球との調和みたいなこの作品のエコロジーなテーマの裏に隠されたもう一つのテーマとなっているように思いました。
少年時代のソウタは空気を読まない人物だったようですが、書記長との関係はその実直さからはじまっていた模様。終わり際の書記長の権限が剥奪される場面での知恵の実云々といった会話は含蓄があって面白かったです。