魍魎の匣 第5話「千里眼の事」

いきなり明治時代の千里眼事件*1の話からはじまって、何事かと思っていたら、登場人物の一人がテレパシーか何かの持ち主であることに繋がって来るという。
フィクションなんだから長い前振りを入れなくても、そういうもんだということにしておけばいいような気もするわけですが、これを持ってくることによって、比較的現実に近い作品世界の中に、超能力の類の持ち主が存在することについての説得力が違ってくるのかなぁとも思いました。
セピア調に統一された画面が、作中の時間よりもさらに過去の出来事であることを強調していましたよ。
会話の内容を先取りしたり、会ったことのない人物の顔についての感想を漏らしたりと、探偵の人は本当に超能力の持ち主である模様。
一方でようやく登場した京極堂その人については、作家が訪れた理由や初対面であるはずの編集者の過去をスラスラと述べたりして、同じような能力の持ち主かと思いきや、不思議な事なんてないと本人が能力の存在自体を否定するような発言をしたりして、なんとも得体の知れない人を食った人物という印象。芥川龍之介の幽霊という表現がなんとなく分かる人物となっておりました。
加菜子失踪の件は探偵の登場によって、バラバラ殺人の件は京極堂の登場によって、それぞれが真相解明に向けての進展を予感させるわけですが、この二つの事件と二人の怪しい人物が、どのように交わり、交わった時に何を見せてくれるのかと期待が高まりますよ。