魍魎の匣 12話「脳髄の事」

京極堂による事件の謎ときのはじまり。彼がほとんど一人で語り、周囲の人物たちが驚くという展開の繰り返しとなっているわけですが、これまでそれぞれの人物の視点からバラバラに語られていた物語が一つの流れにまとまっていくのには、引き込まれるものがありました。
加菜子転落の件は頼子が犯人だったということで、単純すぎて逆に無いように思われた真相が明らかになるんだけれども、それが複雑な事件の発端となっているあたりは、単純だからこそ盲点になっているという驚きがありましたよ。
誘拐の件は加菜子を守るための狂言であることが分かると同時に、美馬坂の助手ですでに死亡している須崎の暗躍が明らかに。それを可能にしていたのが彼の握る絹子の秘密だったということで、ここまで来て更に新しい謎が浮かび上がってくるという。
それが可能かどうかはともかく、明らかになる箱形の研究所の目的は圧巻。そして、次回へと続くというところで知らされる現在の患者の正体その驚かされましたよ。
加菜子の行方や、彼女を生かすための箱とは別の須崎の方法も気になるところで、バラバラ殺人との関連からすると1話で語られた加菜子と頼子の生まれ変わり云々が、ある意味実現されているような予感がしてみたり。
冒頭の手の込んだエフェクトのかけられたステンドグラスが美しく、また関口の小説との関連が語られる場面での幻想的な映像も印象的。患者の正体が知らされる場面で現れる巨大な目が、他人の身体の中の、それも異常人格者のそれの中であるという気持ちの悪さを表すものとなっておりました。
次回は最終回ということで、これまでの流れからすると、人の醜い部分をさらけ出すような後味の悪い結末になりそうでもありますが、物語のすべてが明らかにされるという魅力にも抗しがたいものがあるわけで悩ましいところ。