とらドラ! 第13話「大橋高校文化祭【後編】」

竜児が大河の孤独に気づいて彼女のために走っていたら、なぜか竜児はみのりと、大河は北村と接近するという話。
父親が身勝手な大人として退場しつつ、彼によって生じた人間関係の軋轢が解消されるわけですが、単に元通りになるわけではなく、それぞれの関係が予想外の方向へと大きく発展するものとなっていましたよ。
ミスコンの壇上でコケてから立ち上がる大河を、父親の代わりに竜児が称え、みのりが同調し生徒たちに拡がっていくのは彼女を支えている人物を再確認する場面。優勝し祝福されながらも壇上の大河が孤独であることに気づき、竜児が駆け寄ることで、プールの話での大河の自分のもの発言に応える形で二人の関係が大きく接近するのかと思いきや、福男イベントが挿入されるのは捻りのある展開。その過程で竜児とみのりが接近し、大河も北村からダンスの誘いを受けて距離が縮まるあたりは、登場人物たちの複雑な関係性も改めて確認するものでしたよ。
福男レースのゴール直前の攻防は熱い展開で、身を挺して竜児を大河の元へと行かせようとするみのりを、彼が手をとって共にゴールするあたりは、同じように大河のことを大切に想いながらも、お互いのことも気になるという3人の関係を象徴するところ。
それを受けた大河が、一人でも生きていけると独白することで竜児とみのりが前に進むことを受け入れるようとするわけですが、そこに北村が現れるのは憎たらしいほど見事なタイミング。ミスコンに優勝しても不機嫌そうな顔を崩さなかった大河が、この一連の場面では、柔和で繊細な表情として描かれ、作画的にも非常に力の入っていたのが印象的でした。
大河と竜児がはじめに思い描いたとおり、それぞれの片想いの相手と良い方向に進むことになるんだけれおも、それぞれに本心が隠されているようで、本当にそれでいいんだろうかと思えてしまうあたり、なんともヤキモキさせてくるところ。青春のほとばしりみたいなのが感じられて、見ていて気恥ずかしくなったりもするけれども、それだけ人物たちの心情が良く描けているということなんだろうなと。
亜美の司会の時の衣装が、露出度もさることながら光沢やら影のグラデーションやらとやたらと気合いの入った絵作りになっていたのが素晴らしく。大河がバッグに入る芸を見せるところがやたらと丁寧だったのも見逃せないところで、福男のレースも竜児のテンションの上がり具合と同調して、アクション的に力の入ったスピード感のある映像となっていて見応えがありました。