とらドラ! 第18話「もみの木の下で」

クリスマスエピソードの続きで、ツリーの飾り付けをしているところに実乃梨の打ったボールが飛んできて大変なことになるという。
てっぺんの星が落ちるのはともかく、さすがにソフトボールであの大きさのツリーは倒れないだろうとか思ったりもするわけですが、大河の大切にしている星飾りを壊すという出来事のもたらす心理的な衝撃の大きさを表現するためには、あのくらい大げさに見せるのが演出的な必然なのかも知れず。さらに穿った見方をすれば、大河が他の生徒たちと協力して作り上げたモノを壊すという実乃梨の行為は、彼女の大河に対する独占欲や竜児の寵愛を受ける大河への敵意といった意識として現れない矛盾した感情を仄めかしているようにも思えるところ。
星飾りを一人で直そうとする実乃梨に、竜児が手を差し伸べてたことを受けて、彼女が泣きじゃくるくだりは、二人の関係がかなり親密になったことを思わせる描写。一度は砕けたものの元通りの形に組み合わされた星飾りを見た大河の、輝いているというセリフは、彼女をはじめとする登場人物たちの心を象徴しているようでもあり、またこの先の展開を暗示しているようでもありと意味深な扱いとなっておりました。
大河の語るクリスマスが好きな理由は、彼女の孤独とそれでも他人と関わろうとする彼女の不器用な優しさが垣間見れるものに。側にいる誰かではなく、実在しないことが分かっているサンタクロースを心の支えにするのも切ないところでしたよ。
竜児と大河の関係の不自然さを指摘する亜美は、登場人物たちの関係がよく見えている立場にいるわけですが、同時に自分がその関係に割って入ることが出来ないことも理解しているのが辛いところ。
竜児を中心とした恋愛模様に、クリスマスパーティの準備という状況の中、大きな動きが生じて、本番のパーティでは何が起きるのかと期待を持たせてくれる展開となっておりました。
テンション下がり気味の実乃梨の代打としてか、今回は三十路の先生がはじけまくり。行き遅れの情念がほとばしる独白には笑わせてもらいましたが、シリーズの初期では、ビビリまくっていた竜児と大河に対して先生として普通に接している場面が入っているあたりは、大きな変化となっていましたよ。