とらドラ! 第20話「ずっと、このまま」

新しい年を迎えて修学旅行編に突入。
表面的には、クリスマスの出来事がまるでなかったかのような平穏な雰囲気となっているわけですが、竜児とそれを取り巻く人物たちの胸中にはそれぞれに動きがある模様。
改めて告白をすることを誓う竜児に彼からの自立を目指す大河、そして普段通りに見えて竜児を意識しまくりな実乃梨と、終盤に向けて三人の関係に大きな変化が訪れることを予感させるものでした。そんな三人を外側から見つめる亜美はこれまで通りといった感じですが、もう一つの気持ちに気づいていないかのように振る舞う竜児に対する視線は、より冷ややかさを増しているような気も。
実乃梨が信号待つところからの一連の場面の演出が印象的。信号が青になって逃げようとする竜児を、大河が実乃梨に捕まえさせるわけですが、大河本人は走り去り、再び赤になった信号に二人が立ち止まるあたりは、大河がクリスマスの大泣きのあと気持ちの整理を付けたことを伺わせる一方で、竜児と実乃梨の関係がくすぶったままであることを描いているようでしたよ。
大河のカバンの扱いも秀逸で、それを押しつけた大河が走り去ることについては、二人の自分に対する遠慮を無視して自分の考えを押しつけているようでもあり。また竜児と実乃梨が並んで歩くところで、髪型の話題によって二人の親密さを描きながらも、その間には大河のカバンがあったりして、大河が二人の間を取り持ちつつも同時に障害にもなっているアンビバレントな存在であることを象徴しておりました。
大河の部屋でのしおり作りも含みのある場面。整理された部屋やきちんと分別されているゴミ、そして北村と普通に会話が出来るようになったことと、大河の成長が印象づけられていましたよ。実乃梨が、その成長が竜児の影響であることや自分はそこまで大河と深く関われなかったことを語るのは、彼女の複雑な胸中が垣間見えるところ。
登場人物たちの和気藹々とした様子を見せながらも、何気ない言動や小道具によって、その裏にある張り詰めたものを浮かび上がらせる演出には感心。この先、彼らの関係がどのように展開していくのかに期待を持たせてくれますよ。
聞くところによると、原作が3月に出る10巻で完結して、アニメの方もそのプロットに合わせて作っているとのこと。同じく長井龍雪が監督した*1ハチミツとクローバーを思い出させる方法ですが、このやり方だと原作が蛇足になるような逆転現象も、アニメが尻切れの中途半端になることもなく、どちらにとってもキレイな結末を迎えてくれそう。
あと、大河から「ちんこすう」発言を引き出した春田はグッジョブ。

*1:監督を勤めたのは2期の方だけですが