とらドラ! 第22話「君のいる景色」

前回の出来事を夢に見た竜児の、黒歴史ものの恥ずかしい絶叫から話がはじまるわけですが、かといって修学旅行でのことが夢となるわけでもなく。学校に戻ってもそれぞれが本心を押し殺したまま日常を送るということで、問題の先送りを続けて事態がさらに複雑化していく展開となっていましたよ。
大河に再会した時の竜児の反応は娘を心配する父親のそれとなっていましたが、顔を赤らめたりするあたりはやはり意識している様子。なんやかんやと話しかけて、彼女を引き留めようとするあたりに彼の本心が現れているんだろうけれども、その必死さが滑稽でもあり。
大河が髪飾りを竜児の部屋で見つけるところからは緊迫感のある展開。二人の遠回しな会話に意味深なモノがありましたが、実乃梨に贈ったはずのそれが竜児の元にあることから、本人に気持ちが知られたことを大河が悟って、自分のドジさに呆れつつ「バカなこと」と言ってなかったことにしようとしたと。とりあえずはそれで話が落ち着くわけですが、この物語の中心にある二人の関係がそう簡単に片付くはずもなくて、状況がさらにややこしくなっただけような気もするところ。
自販機前の会話は、聞かれてもいないのに自分の考えを語る実乃梨の暑苦しさと、積極的に関わろうとせずにただ待つだけの亜美が対比される場面となっていて、ここまで正反対だと、そりゃ気が合うはずもないなと。目に見える物だけを追うという実乃梨のセリフは、相手の意志に関わらず自分の努力だけで手に入るものを求めるということなんだろうけれども、自分で決めるとわざわざ宣言するあたりは、未だに迷いがある模様。亜美の生理中の気分云々という発言には正直引きましたが、追いかけてきたのが実乃梨だった時の落胆ぶりから伺える、ただ待つしかない彼女の立場には切ないものがありました。
ややこしさを増す恋愛模様に加えて進路の問題まで絡んできて、物語も終盤を迎えて登場人物たちに選択を迫る青春モノらしい展開に。自販機の間の幽霊をはじめとして、コミカルな導入から本題へと切り込んでいく話の進め方の巧さはあいかわらずで感心。学校の玄関で実乃梨が竜児に話しかけるところや、大河が竜児の家の前に現れる場面で、二人を地味に凝ったカットで見せているのが印象的で、竜児の中における二人の存在の大きさを強調しているように思いましたよ。