萌えアニメ誌の歴史を振り返る

萌えアニメ誌といってもあまり聞き慣れない言葉ですが、ここではメガミマガジンに代表されるような美少女キャラの版権絵を大量に掲載するアニメ雑誌ということで。
長らくメガミマガジンの独壇場だったこの分野にも、娘TYPEという挑戦者が現れたことで、新しい動きがありそうな気配ですが、実はこれまでにも片手では足りないくらいの萌えアニメ誌が誕生し消えていったことはあまり知られてないようなので、それらを紹介してみようかなと。並びは発刊順。

メガミマガジン
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1999年〜刊行中・学習研究社
ピンナップを大量につける、というフォーマットを生み出した偉大なる存在。現在109号まで。1号の表紙が「With You」で、当初はゲームの比率が大きくピンナップも数面のみ。キャッチコピーも「ゲーム&アニメ美少女キャラクター情報誌」となっていて、現在とはゲームとアニメの順序が逆。3号でナデシコのルリを表紙に持ってきて、アニメの比率が大幅に増加しピンナップも倍増。深夜アニメの興隆に合わせるかのようにして現在に至ると。「リリカルなのは」シリーズをほぼ独占状態で扱っていましたが、これはファーストシリーズの制作発表が行われた際、取材に来たのがメガミマガジンだけだったからとのこと。ちなみに印刷証明付き発行部数は2008年12月の時点で63,200部*1アニメージュとほぼ同じ。

「otomex」
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2001年・全2号・ホビージャパン
表紙に半年で打ち切られた「FF:U」を持ってくるあたり、今にして思えばその短命さの前振りだったのかも知れず。少女向けアニメとして一部で評価の高かったアニメ版の「コメットさん」(そういえばこれも3クールで打ち切りだったり)も扱っていたりして、メガミや他のアニメ誌で扱わない作品を取り上げていましたが、半分くらいゲームやグッズ情報が占めていたりして方向性がよく分からない雑誌でした。

「電撃アニマガ」
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2002年〜05年・全19号・メディアワークス(当時)
休刊した電撃Animation Magazeineを萌えアニメ誌として復刊。「メガミ」の後追いとしては今のところ最長記録。「シスプリ」や「あずまんが大王」といった自社の人気作品を多く扱っていましたが、それでも休刊してしまうあたり、この手の雑誌の難しさを表わしているのかも。

「A☆Princess」
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2002年・全2号・徳間書店
創刊号が無線綴じで絵が見にくいなぁと思っていたら、2号で中綴じに変わったという。アニメージュからの使い回しが多かった印象。

「コンプH's」
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2006年〜08年・全9号・角川書店
角川だけに「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」を多く取り上げて、休刊までの表紙をこの二作で占めるほどだったけれども二桁に届くことなく休刊。どちらも人気作ではありますが、作品のファン層とピンナップを求めるファン層が噛み合わなかったのかなと。

「萌えメージュ」
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2008年・全1号・徳間書店
フェチを極めろ!と銘打って身体のパーツにこだわったり、うのまこと金子ひらくによる肉感についてのマニアックな対談を載せたりと個性的な誌面作りでしたが今のところ続刊なし。

娘TYPE
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2009年〜?・今のところ1号・角川書店
メガミマガジンの独占状態だった「リリカルなのは」を持って来たことが話題になったわけですが、「ストライクウィッチーズ」の二期に関する情報を、独占で扱っているのも目を引くところ。ピンナップてんこ盛り、作品よりも登場人物である女の子の紹介を中心とした記事とメガミを意識したことがうかがえる誌面構成。ピンナップが載ってればとりあえずOKな自分としては数が増えるのはうれしいけれども、同じような雑誌が複数あっても、もともとたいして大きくないパイを更に小さく分け合うだけなんじゃないかと思ったり。

他にも、かんなぎマガジン状態の「キャラ☆メル」がありますが、東方の小説が載っていたりクリエーターの対談記事が多かったりで、少し方向性が違う印象。女性向けでは「NEWTYPE ROMENCE」「PASH!」「Charaberrys」といった雑誌があるようですが、ここら辺はよく分からず。ここで紹介したもの以外にも同系統の雑誌があったらフォローをお願いしたいところ。

・まとめ
いわゆる萌えアニメに対するありがちな批判に、安易なお色気で視聴者に媚びている、みたいなのがありますが、まさにそのお色気ばかりの萌えアニメ誌がメガミマガジン以外死屍累々といった状況を見ると、それで売ることがいかに大変であるかが分かろうというもので。分かりやすい分、絵的なクオリティや人気作を扱うといったところでの勝負になるんだろうけれど、ファンサービスという刹那的な快楽の提供する陰で、こうした厳しい競争があることを頭に入れておくと、安易に媚びているなどと言って馬鹿にばかりしていられないんじゃないでしょうか。