青い花 第5話「嵐が丘(前編)」

演劇祭に向けて、周囲が盛り上がるのに合わせるかのように、ふみと杉本の関係も進展するものの、井汲の件がふみの知るところとなって躊躇させたり、そのことであきらが板挟みなったりする話。
杉本がふみに対し、気持ちを見透かしたような発言をしつつ、突然自宅を訪問して劇を手伝わせること告げてと、強引にリードしていく様が男らしくてステキ。井汲とはただの先輩後輩として何事もなかったように振る舞うわけですが、その不自然に自然さを装う態度が、まるで演劇部の顧問から自分が受けた仕打ちを、井汲に対して繰り返しているかのようにも見えてしまいました。
井汲が身を引くことでとりあえずは小康状態を保っているわけですが、演劇祭という大舞台に合わせて何かが起こりそうな予感もするところ。風でざわめく木の葉、誰もいない夜の校舎を見回る顧問の教師、そして意味ありげにアップになる杉本が演じるヒースクリフを描いたポスターと、次回への引きとなる一連の場面が不穏な雰囲気を醸し出しておりました。
ふみと杉本、ふみとあきらが電話で会話する場面で、どちらも画面を二分割してそれぞれの人物を左右に配し、会話に合わせて絵がスライドさせてカットを変えていくのが面白い演出。「星の王子様」のセリフに、あきらと井汲の会話をかぶせ、そこから王子が走りさっていく幻想的な場面へと繋ぐのが印象的でした。
杉本を巡るふみと井汲の三角関係において、直接は関係ないはずのあきらが一番気を使っているように描かれるあたりは、彼女の人の良さが感じられて、なんだか誰よりも彼女に親しみを感じてしまったり。