青い花 第11話「冬の花火」

夏が終わり季節が秋から冬へと移り変わる中、彼女たちのその後を描きつつ、ふみが一番大切な事を思い出すということで、心に染みる最終回となっていましたよ。
恭己と駅のホームで遭遇するところで、お互いに存在に気付きながらも、画面の端と端で目一杯距離を置き、電車に乗った恭己が背を向けたまま去っていくのは、二人の関係が完全に終わったことを印象づける演出。
その直後にあきらが現れるあたりは、この作品の象徴するような場面で、作中ではもう少し時間がたってから、ふみがあきらの存在の意味に気付くことになるわけですが、考えてみればこの場面に限らず、彼女の側には常にあきらがいたわけで、やっぱりこの二人を中心とした物語だったんだなと、思いました。
あきらの兄の大勝利というサプライズを用意しつつ、登場人物たちがそれぞれの道を歩んでいく姿を描くのは余韻を残す終わり方。挿入歌やEDテーマが大変よい雰囲気を醸し出しておりました。
 
全体を通しては地味だけど丁寧な作りが好印象。セリフに頼らずに仕草やカットの積み重ねといった映像によって、それらを見せるのが丁寧な作りで、比較的シンプルなキャラクターデザインや淡い色調の背景、そして控えめな劇伴といった要素によって落ち着いた雰囲気となっておりました。
女の子同士の恋愛という、ともすればエキセントリックになりがちな題材を扱い、実際アニメではそういう面を強調したものも多いわけですが、そういう方向ではなく人物たちの心情を丁寧に追う作りが印象的。まあこの作品も、女の子同士でなかったら、淡々として退屈なだけだったのかもしれませんが、そこら辺のさじ加減が絶妙だったのかなと。
ソフトはとりあえずDVDのみの発売のようですが、こういう作品こそ高画質で見る意味があると思うので、BDによる発売を望みたいところ。