テクノライズ 第21話「ENCEPHALOPATHY」

「人ハ皆、己自身ガ震エタツガ如キ怪物ヲ飼ツテイル」ではじまるナレーションが秀逸。地上波放送時に飛ばされた地上編も含めたこの作品のあらすじとテーマが凝縮されていて見通しが一気に開ける感じ。ここまで言葉による説明を極力廃していたのに、ここにきてナレーションを使うのは反則な気もするけど、正直初見のときは、これを聞くまで面白いけどよくわからんというのがあったので、最終回を前に分かりやすくしてくれたのかなと。淡々とした語り口とノイズを乗せる処理も効果的でした。
ずっと憧れていたというクラースの住人を皆殺しにして果てるシンジ、街の声を届けてくれた蘭の望みをかなえ自らも命を落とす大西と主要な人物たちが次々と退場して物語は一気に収束へ。シンジが大西と袂を分かつところは、かつて秘書から「大西になりたいんでしょ」と看破されていたことを考えると感慨深い場面。カメラがトンネルを後ろ向きに移動してきて、バイクに乗ったシンジが画面に入ったところでスローモーションになるカットが決まっておりました。
蘭を地上に連れて行きたい、とはじめて自発的に他人のために何かをしたいと望む櫟士の言葉も蘭には届かず、ただ幻を追いかけるだけという。物語を彩ってきた登場人物たちが消え、荒れ果てた街で、最後の希望である蘭を彼は救うことが出来るのか?という一点に物語の焦点が絞られたわけですが・・・