テクノライズ 第22話「MYTH」

流9州が滅びの都となった経緯を記録映画風に見せるのはカッコいい演出。でも、出来れば一話くらい使って最終決戦の様子を見たかった気もするわけで、終盤の密度の高い展開が気持ちよくもあるんだけれど、一方でじっくり見せて欲しいところも駆け足になっちゃったかなと。序盤の遅々とした展開を考えると構成がマズかったのかとか、全22話という中途半端な話数になったことが関係してるのかとか、いろいろ事情がありそうですが。
櫟士が暴徒に囲まれて絶体絶命というところで、テクノライズユニットが動き出すのは、なかなかにいい場面。ドクが緊急用の機能を組み込んでおいてくれたということなんだろうけど、第二の母と呼ばれた彼女の櫟士に対する想いみたいなのが感じられましたよ。
「オレは変わったか?」と蘭の幻に問いかけ、暴力を振るうことにためらいながらも蘭の元へと向かう櫟士が切なく、やっと、たどり着いた先で見たものは体を改造され、物言わぬ姿になった彼女という・・・。
地上の人間は静かに滅亡の時を待ち、地下の人間は狂気に囚われて滅び、助けたい願った少女は廃人となって主人公自身ものたれ死ぬという救いも何もない終わり方なのに、爽やかな余韻を残すのが不思議。狂犬と呼ばれた主人公が、人との関わりを経て人間らしさを得て、最後までそれを失わなずに自分の意思を貫いたことが、それを生んでいるのかなと。最後の場面に流れる歌が美しく、満ち足りた表情で横たわる櫟士の姿がいつまでも心に残りました。