STAX SR-007Aを購入

SR-007Aをしばらく前に手に入れたんですが、聴けば聴くほど素晴らしい音なのでそれについての感想を。
・購入の動機
ヘッドホンにハマり、とりあえずAH-D7000に落ち着いたことは以前に書いた通り。D7000は今でも気に入ってはいるんだけれども、大編成のオーケストラなんかを聴く時に、密閉型においてはどうしても避けられない音の籠もり感が気になるようになってきたので、開放型も欲しいなぁと思うようになって、妥協しても結局高いのが欲しくなるのが経験的に分かっているので、ならはじめからフラッグシップ機にしようということで、ゼンハイザーのHD800とSTAXSR-007Aを検討。007Aを購入しましたよ。
・音の特徴と感想
特徴としては、高音域は繊細で良く伸び、音が身体に染み込んでいくような美音を、低音域はもたつきのない引き締まった音を再生してくれます。また分解能は高く、多くの音が重なるような部分でも、その厚みを感じさせつつ、それぞれの音を埋もれることなく鳴らしきる性能があり、購入の目的である音の広がりを体験することが出来ました。
どの音域を取っても刺激感のない耳あたりの良い音で、特に弦楽器の再生は素晴らしく、世の中にはこんな音で再生出来る装置があるのかと感動を覚えるわけですが、時としてその特徴により迫力を削がれる感がなきにしもあらず。例えばムローヴァサロネンによるバルトークのバイオリン協奏曲第2番。これは一般的に演奏されるのとは別バージョンに基づく演奏で、終曲間際に管楽器による裏返るような強烈なグリッサンドを聴かせる部分があるんですが、音がキレるような迫力が欲しいこの部分でも整っていたりして、ちょっと物足りなかったりするところ。今のところ気になるのはこのくらいで、それも長所の裏返しとしての弱さということで、むしろ個性と呼ぶべき点のように思いました。
アニソン(主に女性ボーカルですが)においても、ボーカルの透明感と分解能の良さが素晴らしく。数人のユニゾンで歌われる部分でも、個々の声を聞き分ける事が出来、また編集時に音圧を上げるせいか、他のヘッドホンでは聴き疲れするようなソースでも、耳当たりよく聴かせてくれます。
ネット上で見られるレビューでは「ノリ」を出すのが不得手とする意見がよく見られ、確かに低音が多い曲では全体的に音が軽すぎるような気もするところもあり。しかしリズムには音離れの良さから来るキレがある印象。「NEEDLESS」の新ED「WANTED! for the love」はバタバタとしたドラムが印象的な曲ですが、それがもたつくようなこともなくスピード感のあるものとして聴かせてくれますよ。

・まとめ
以上、個人的な使用感を書いてみましたが、結局のところ既にネット等に上がっているそれを再確認しただけのような気も。ドライバーとのセットで揃えると、けっこうな額になりますが、惚れ込めば既に多くの人が体験しているのと同様に、他に類を見ない美しい音の世界を与えてくれることでしょう。
ちなみにドライバー*1は、SRM-727を使用。SRM-007tAとの二択でこちらを選択。ネット上のレビューをみると真空管を使ったSRM-007tと組み合わせが味わいがあるとして定番のようですが、自分的にはトランジスタを使用したSRM-727Aの明朗な音の方に惹かれました。

*1:エレクトロスタティックという特殊な方式をとっているためドライバーと呼ばれる専用のアンプが必要